原則として、愛人(不倫相手)に相続権はありません。
日本の民法では、相続人になれるのは「法定相続人」に限られます。法定相続人とは、配偶者や子、親、兄弟姉妹など、法律で定められた範囲の親族のことです。
愛人は、被相続人と法律上の婚姻関係にないため、この法定相続人には含まれません。
したがって、たとえ長年連れ添ったとしても、相続人として財産を相続する権利は発生しないのです。
要は結婚という制度(ルール)がある以上、それを守っている人に利益を、ということですね。
ただし、遺言書で財産を「遺贈」する旨が記載されていれば、愛人でも財産を受け取ることは可能です(配偶者や子は遺言書が無くても受け取る資格があります)。
しかし、これは相続とは異なり、あくまで遺言による贈与という形になります。
また、他の法定相続人(配偶者や子など親族)の遺留分(最低限保証された相続分で法定相続分の半分)を侵害することはできません。
正式な妻子等がある場合は、遺言書にどう書いてあっても愛人の総取りというわけには行きませんよ、ということです。
これはそもそも財産を遺す人(被相続人)の意思が尊重されるが、法定相続人にも最低限の権利を保証してバランスを取る主旨と捉えれば理解しやすいかと。
2025年12月7日追記:愛人の子(非嫡出子)に相続権はあるのか?
かつては「非嫡出子の相続分は嫡出子の半分」とされていましたが、平成25年の民法改正により、この区別は撤廃されました。現在は、婚姻関係の有無にかかわらず、法律上の親子関係が認められれば相続分は等しいというのが原則です(民法900条)。
「愛人は大人ですし自分である程度立場を選べますが、子供は親を選べませんので、これまでの民法の規定は憲法違反です」と最高裁判所が判決を出し、こういう扱いに改められました。
ただし、実際の相続手続では、法律上の親子関係があるか否か、どの段階でそれを確認するかによって大きく結果が異なります。ここでは「実子側」と「非嫡出子側」双方の注意点を整理します。
1.非嫡出子に相続権が発生する条件
非嫡出子が相続人になるためには、被相続人との親子関係が法律上認められていることが必須です。主な方法は以下の2つです。
- 認知(任意認知・裁判認知)
父が生前または死後に認知をする、あるいは家庭裁判所に「父子関係の存在の確認」を求めることで親子関係が確定します。 - 実子として戸籍に記載されている場合
母との関係は出産によって当然に発生します。
親子関係が認められた時点で、相続権は「遡って」発生します。
そのため、生前は関係が不明だった場合でも、認知が確定すれば法定相続分の主張が可能になります。
2.実子側から見た注意点
非嫡出子が存在する場合、実子側が特に注意すべきポイントは次のとおりです。
① 相続人調査を丁寧に行う必要がある
相続開始後に「実は非嫡出子がいた」と判明するケースは珍しくありません。
遺産分割協議成立後に新たな相続人が現れると、協議は無効となり、やり直しが必要になります。
→ 戸籍の広範囲な収集、親族からのヒアリングなど、早期調査が重要です。
② 認知請求や相続分の請求に備える
被相続人の死後に、非嫡出子側が裁判で認知を求めることがあります。
認知が認められれば、相続割合も確定し、遺産分割に影響します。
→ 遺言書があれば、遺留分を踏まえた形で紛争リスクを下げることも可能です。
③ 遺産分割協議を急ぎ過ぎない
相続人の全員確定前に分割を進めると後々トラブルが生じます。
戸籍調査が完了するまでは、安易に協議を進めないことが肝要です。
3.非嫡出子側から見た注意点
一方で、非嫡出子の立場では、次の点を押さえる必要があります。
① 親子関係(認知)の有無と証明方法を確認
戸籍に父が記載されているか、認知届が提出されているかが最初のポイントです。
もしされていない場合は、裁判での認知請求やDNA鑑定の活用が検討されます。
相続開始後でも請求は可能です。
② 相続手続への参加には身分関係の証明が必須
相続人として遺産分割協議に加わるには、法律上の親子関係を示す資料が必要です。
認知未了の場合、いきなり協議に参加することはできません。
③ 相続分は「平等」だが遺留分では注意
相続分は実子と同等ですが、遺言で排除される可能性もあります。
その場合は遺留分侵害額請求ができますが、請求期限があり注意が必要です。
4.トラブルを防ぐためには
非嫡出子の有無は、家族間で話題にしにくい側面があります。
しかし、相続の場面では“誰が相続人か”の確定が最も重要です。
実子側・非嫡出子側の双方にとって、早期の戸籍調査、認知の有無の確認、必要に応じた家庭裁判所手続の検討が、後々の紛争防止につながります。
当事務所では、
- 相続人調査(戸籍収集)
- 認知関連手続のご相談
- 遺産分割のための書類作成
などをサポートしております。
秘密厳守で対応いたしますので、どうぞ安心してご相談ください。
家族の前では話せない、自宅では無理、といった場合も対応を一緒に考えます。
裁判で争うような場合は弁護士の職域となり、行政書士には扱えなくなります。
病気も争族も予防で済まない場合、コスト(時間・お金・心労)が跳ね上がります。

